長男が突然ジョーカーのDVDを借りてきました。コロナさんでかなり暇だったのでしょう。
返却期日が近づいてきて、やたら観ろ観ろ言うんで、観てみました。
実はそれほど前知識はありませんでした。バットマンの悪役であること、ダークナイトのジョーカーが意味不明で胸糞悪かったこと、そしてかなりヒットして評価も高かったこと、ぐらいでしょうか。
いやあ、なかなかくる映画でした。
私はハッピーエンド好きな庶民ですから、この手の映画を単純に面白いとは思えません。
ただ、単純なアメコミヒーローモノのスピンアウトじゃ済まされない、ただならぬモノを感じる映画でした。
社会の衰退、格差、貧困、病、家庭環境、そしてそれらの負の連鎖、そういったものに次々ト打ちひしがれ、そして家族の裏切り、何よりも虚無感、存在の否定、そういった一つ一つの事柄が積み重なりジョーカーは生まれた、そんな感じです。
正直、観ていても受け止められないほどの、どうしようもない不幸が彼を襲います。
とは言え、殺人はしちゃダメです。あれこれ破壊しちゃダメです。絶対に。
そんなことは分かっているのに、ジョーカーに感情移入してしまいそうになる自分がいる、その怖さ。なかなか深いところをえぐってきます。
歴代ジョーカー役、No.1という評価もあるホアキン・フェニックス、この人の演技力がこんなにややこしい感情を引っ張り出してきているんだと思います。
まだ優しく弱い一面のあるジョーカーが、徐々に狂気を纏っていくその様を有り有りと演じきってます。
ここから、ダークナイトのくっちゃくっちゃ音立てて、心底イカれた、でも狡猾なジョーカーに繋がっていくのでしょうね。
面白い、訳でもないのに、心の騒めきがなかなか治らない、そんな不思議な映画でした。